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皆さんはボビー・ハケットというコルネット奏者やジャック・ティーガーデンというトロンボーン奏者を知っていますか?
恥ずかしながら、僕はこの「ポートレイト・イン・ジャズ」という本を読むまで彼らのことを知りませんでした。
本の概要
「ポートレイト・イン・ジャズ」はイラストレーターの和田誠と村上春樹の共著です。和田誠の描いたジャズミュージシャンのイラストに、村上春樹がエッセイをつけるという体で構成されています。
収蔵されているミュージシャンは総勢55人。
マイルズ・デイヴィスやビル・エヴァンズ、ルイ・アームストロングといった誰もが知っているような有名な人から、ジャズ好きには有名なんだろう人までバリエーションに富んだ人選になっています。
僕が買ったのは文庫本ですが、もともとは「ポートレイト・イン・ジャズ」「ポートレイト・イン・ジャズ2」という2冊のハードカバー本として発行されたものを一冊にまとめ、さらに3人分のおまけをつけて発行されたものです。
この本を読むメリット
ジャズミュージシャンについての知識が広がり、いままで知らなかったミュージシャンのことを知ることができます。
そして著者たちの視点を疑似体験することによって、知っているミュージシャンについてもそれまでとは違う見方ができるようになります。
「ポートレイト・イン・ジャズ」を読んだ感想
昔を思い出す
僕は昔、村上春樹の本が好きでかなり読み込んでいました。
年齢でいうと高校生から大学生くらいの間の5,6年、本でいえば「風の歌を聴け」(リアルタイムではない)から「太陽の南・国境の西」までです。
当時は本当に好きだったのでだいぶ影響されていて、今考えるとかなり恥ずかしいのですが、何でも斜に構えるのがカッコいいみたいに思ってました。
40後半のオジサンになってみると、高校生や大学生の頃なんてバカになるくらいのほうが楽しめるんじゃないかと思うので、若干こじらせてしまった自分の青春時代への後悔もあったりします。
そんな「恥ずかしい時期」への反省もあってしばらくの間は村上春樹の本を読む気にならず、この「ポートレイト・イン・ジャズ」は僕にとってかなり久しぶりの村上春樹の本になったわけですが、読みはじめてすぐに「ああこれだよね」と忘れていた感覚を思い出しました。
何でしょうね。村上春樹の小説を読んだときに感じるこの不安になるような感覚というか、自分の存在が揺らぐような感じというか、それはあの頃感じたものと変わりがないですね。
懐かしくもあり、またとても新鮮でもありました。
購入するきっかけ
この本を買ったのは村上春樹の文章を読みたかったというよりは、ジャズについての手引書がほしかったからです。
このところ、ブログに限らずですが何かの作業をするときにはほぼ必ずと行っていいほどジャズを聴きながらであり、実はAmazonプライムの会員になったのもプライムミュージックでジャズを好きなだけ聴きたいというのが一番の動機でした。
ジャズを聞き始めてからしばらくは「とりあえず聴ければいいや」とばかりに、名前を知っている有名ミュージシャンのアルバムなり作品なりを手当たりしだいに聞いていたのですが、段々それでは満足できなくなり、「せっかくならば、ちゃんと知識もつけたい」と思うようになりました。
じゃあジャズについて勉強できる本を買ってみようかというときに、村上春樹がかなりのジャズファンだったことを思い出し、この「ポートレイト・イン・ジャズ」を見つけたというわけです。
それぞれのミュージシャン像が鮮明に
本の内容はというと、55人のジャズミュージシャンたちについての村上春樹の個人的エッセイなので、全然教科書的ではありませんが逆に1人の人間を通して語られることでより鮮明にそれぞれのミュージシャン像が自分の中に鮮明に浮かび上がってきます。
本を読みながら「へー」と気になったミュージシャンをプライムミュージックで検索して聞いてみると、きっと自分ひとりで探していたら行き当たらなかっただろうなという出会いがあり、非常に面白いです。
やはり、「先達はあらまほしきことなり」ですね。
いわゆる村上春樹的世界がそこには広がっており、タバコの煙やウイスキーの香りなんかを漂わせたらさぞカッコいいのかもしれないけど、残念ながら僕はタバコもウイスキーも好きじゃないので、、、それでも十分に楽しめます。和田さんのイラストも趣深いです。
書籍情報
書籍名 | ポートレイト・イン・ジャズ |
著者 | 和田誠・村上春樹 |
出版社 | 新潮社(新潮文庫) |
ISBN | 978-4-10-100153-1 |
発売日 | 2004年2月1日 |
定価 | 924円 |