斉藤広達著「数字で話せ」のレビュー|不安なことも数字にすれば怖くない

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斉藤広達氏の新刊「数字で話せ」を読みました。

僕は高校の数学テストで0点をとったことがあるほど数学が苦手なのですが、そんな僕にもこの本はわかりやすく、そしてとてもおもしろい内容です。

非常にざっくりいうと本書は「ものごとは数字にすることでわかりやすくなるよ」という内容が書いてあります。

難しい計算式などが出てくるわけではなく、ビジネスに必要な統計学的な考え方なども噛み砕いて説明されていて、「数字が苦手なんだよね〜」という人でも抵抗なく数学的思考センスを身につけるヒントを得られる良書だと思います。

ところで、いきなり話が変わって恐縮ですが、我が家には車がありません。

正確に言うと、以前は車を所有していましたが処分をしました。それからは車を持たない生活をしています。

現在は車を処分したおかげで家計のコストを削減することができ、生活の質が大いに向上しています。

この「数字で話せ」を読んで、その当時マイカーを手放すに至る過程で考えていたことを思い出したので記事にしてみたいと思います。

マイカーを手放したきっかけ

きっかけは維持費が家計を圧迫していたことです。

ガソリン代や駐車場代など、月々のランニングコストはそこまで重い負担ではありませんでしたが、たまに来る税金や車検代が厳しく感じていました。

維持費がかかる割に車の使用頻度は多くなく、果たしてそこまでのコストをかける必要があるのだろうか?という疑問を持ちました。

マイカーを手放すことへの不安・懸念

愛着のあるマイカーを手放すことについては、やはり心理的な抵抗感がありましたが、その他にも実際の生活に関わる部分での不安・懸念がいくつかありました。

具体的には、

  1. いざという時に困るのではないか?
  2. マイカーがないと不便なのではないか?
  3. 逆にコスト増になるのではないか?

といったことでした。

不安・懸念を噛み砕いて検証する

漠然と不安に思っているのはバカみたいだなと思ったので、それぞれについて具体的に考えてみることにしました。

1:いざという時に困るのではないか?

まず「いざという時」って何?という話を夫婦でしたところ、現実的に考えるべき「いざという時」とは子供を病院に連れて行く時だろうということになりました。

想定しうるケースとして、子供がインフルエンザに罹患し急激に症状が悪化した場合、マイカーがないことでデメリットがどれくらいあるか?というシナリオで検討してみた結果、タクシーや救急車を利用すれば対応できるだろう結論に至りました。

また、子供たちは成長に伴って体が丈夫になっていたので、病院に連れて行く回数自体も少なくなるだろうと予想できたことも、この「デメリットはないだろう」という判断の後押しとなりました。

2:マイカーがないと不便なのではないか?

マイカーがないことによる不便とは「好きな時に車が使えない」ということだと思います。

じゃあその「車を使いたい時」がどれくらいあるのか?また他の交通手段で代用できないか?ということを考えてみました。

当時の我が家の「車を使いたい時」とは「近所のショッピングモールへの買い物」と「実家への帰省」で、それぞれの頻度は次のような感じでした。

  • 近所のショッピングモールへの買い物=週に一回程度
  • 実家への帰省=年に2〜3回程度

また代用可能な交通手段は

  • 近所のショッピングモールへの買い物=地下鉄・バス・徒歩・レンタカー
  • 実家への帰省=電車・レンタカー

というように、具体的に考えてみると、「車を使いたい時」は思っていた以上に少ないし、また他の交通手段で代用が十分可能だという結論に至りました。

3:逆にコスト増になるのではないか?

出かけるたびにその都度交通費がかかるのはかえってコストが増えるのではないか?と漠然とした不安がありましたので数字に落とし込んで検証してみました。

マイカーがある場合のコスト

車を持っていたときの年間のコストは、税金、隔年の車検、ガソリン代、駐車場代など合わせると年間約36万円でした。

マイカーがない場合のコスト

これは先程出た「車を使いたい時」にその他の交通手段を利用した時の年間コストを、一番高額な交通手段を選択した場合で検証してみました。

  • 近所のショッピングモールへの買い物(週一回):タクシー往復@2500円x52週=13万円
  • 実家への帰省(年3回):新幹線往復@5万円x3回=15万円

ということは合計で年間28万円となり、マイカーがある場合に比べて高く見積もっても年間8万円も安く済みそうだということがわかりました

実際にはネットショッピングやネットスーパーを利用することでわざわざ買い物に行くことはほとんどなくなりましたし、子供たちの成長に伴って実家への帰省回数も減りましたのでマイカーを持っていたときの半分程度のコストで済んでいたように思います。

結果:不安なくマイカーを手放せた

というように、漠然と不安に思っていたことを具体的に想定して、また数字として見える形で検討することで不安や懸念をクリアにしてマイカーを手放すことができました。

今では車のない生活をするようになって5,6年になりますが、はっきり申し上げて非常に快適です。車を手放したことでいろいろな面で生活の質が向上しました。例を挙げると、、

  • 車の維持費にかかっていたコストを他の部分に回している(教育費など)
  • 交通事故の被害者・加害者になるリスクが少なくなった
  • 近距離の移動は歩くようになり健康になった
  • 休日に昼間に出先でビールを飲める

といったようなことがあります。

ですが、一番よかったなと思うのは、不要なものへのコストを「そういうものだ」という思考停止状態に陥ったままやり過ごさなかったことです。

もしあのとき、深く考えずにそのままマイカーを所有し続けていたらどうなっていたか?

金銭的なデメリットはもちろんですが、それ以上に根本的な部分である「自分の人生を生きる」というスキルにおいて今よりもずいぶん拙い状態なのではなかったかと思います。

まとめ:不確定要素を定量化し不安を乗り越える

本書でも触れられていますが、人間は長い進化の過程において不安に対して敏感に反応してしまうようにプログラミングされています。そうでなければ種として生き残れなかったのですね。

しかし、ビジネスにおいても人生においても不安を乗り越えなければ新しい局面を切り開くことはできません。

そのための手法として不確定要素を定量化・数値化して不安を乗り越えるスキルの指南書としてこの「数字で話せ」はとても有用だと思います。

なんと言っても数学の苦手な人でもわかりやすいところが素晴らしい。

仕事や人生について悩んでいる人にぜひ読んでほしい一冊です。

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